ChatGPTを活用したセファロ診断アプリ開発

こんにちは、DDIの徳永です。

今回は、私が今まさに開発している「セファロ診断アプリ」についてお話ししたいと思います。ブログの更新が久しぶりになってしまったのですが、それはこのアプリ開発に注力していたからです。

歯科におけるセファロ分析は矯正治療や補綴治療において重要な役割を果たしますがその数値の解釈やデータの活用方法には一定の経験が必要です。特に診断の統一性データを活かした客観的な分析という点ではまだ改善の余地があると感じています。

そこでAIを活用したセファロ分析支援ツールを開発しより効率的にデータ活用できる仕組みを作ろうと考えました。本ツールは研究用として開発しており、診断を行うものではなく歯科医師が分析を行う際のサポートを目的としています。

 

ChatGPT-Cephalogram diagnosis → GPT-Cephdx → G-Ceph
ダサい?これを決めたのはChatGTPです(笑)

 

なぜアプリを開発しようと思ったのか?

私は矯正治療や大きな範囲の補綴の際にセファログラムを活用します。でも矯正専門医の皆様ほどセファロに慣れ親しんでいませんからいつもその扱い方に不安を感じながら取り組んでいます。特に、

分析結果の統一性を保つこと

数値データをより客観的に解釈すること

これらは、多くの歯科医師が悩むポイントではないでしょうか。

最近ではAI技術の発展により医療分野でも活用が進んでいます。実際ChatGPT単体でもある程度の分析は可能ですが診断基準を統一し、継続的にデータを蓄積・活用するには専用のツールが必要だと考えました。

また既存のソフトウェアでもセファロ分析を行い項目ごとの数値を取得することはできますがそれだけでは十分ではありません。   分析データをどのように解釈し、臨床の意思決定に活かすかが重要です。そこでAIを活用して診断の補助を行う仕組みを作ろうと考えました。これにより診断の標準化と精度向上を図ることができます。

 

初めてのコーディングとGPTのサポート

ところが僕にはひとつ大きな問題がありました。それは コーディング未経験 ということ。

これまで診療のことばかり考えてきた僕にとってプログラミングの世界はまったく未知の領域でした。HTML? JavaScript? 何それおいしいの? というレベルからのスタートです。

 

実際の開発画面。まさかこんなに大変だとは思ってもみなかった。

 

 

そこでコーディングもChatGPTと相談しながら進めることにしました。ChatGPTにプログラミング未経験でありることや、こういうものを作りたいと相談します。

ChatGPTに「プログラミング未経験だけどこういうツールを作りたい」と相談すると、

•必要な技術スタック

•実装すべき機能

•次にやるべきこと

これらを順番に教えてくれました。おかげで、何とか形にすることができました。

出来上がったものには満足していますがおそらく本職の人から見れば稚拙なものなんだろうと思います。こんなものでも何日も寝られない日がありました。

それでも僕がなんとか形にできたのはChatGPTのサポートのおかげです。特にGPTを使う一番のメリットは何度聞いても嫌がらずに答えてくれること

普通、人に同じ質問を何度もすると「またかよ」と思われるかもしれませんがGPTにはその心配がありません。どんな些細なことでも何回でも聞けるのは学習の面でも大きなメリットでした。

ただしGPTの短期記憶には限界があります。途中で話が長くなりすぎると前のやり取りを忘れてしまいときどき間違いをする こともありました。そのため私自身がコードの意図を整理しながら進める必要がありました。

作業中のやりとり。GPTは優秀だが忘れることも(よく)ある。

 

どんなアプリなのか?

今回開発しているセファロ診断アプリの流れは、以下のような感じです。

  1. セファロ画像のアップロード
    • ユーザーはCSV形式のセファロデータをアップロードできます。数値を手入力することも可能。
  2. GPTによる数値解析
    • 入力された数値をもとに、ChatGPTが解析を行い、標準偏差(SD)と比較しながら傾向を示します。

  3. フィードバックによる学習
    • ユーザーの修正データを蓄積し、AIがより精度の高い分析を行えるようになります。

現在はまだ開発途中ですが、基本的な部分は動き始めています。特に診断の基準となるSDの計算や診断結果をJSONデータとして保存し、学習に活かす仕組みを整えています。

    なかなかいい返答が得られるようになってきました。

 

開発の難しさ

やはり、コーディング未経験でいきなりアプリを作るのは簡単ではありません。特に難しかったのは、

  • データの整形(CSVのフォーマットがバラバラ)
  • エラー処理(想定外のデータが来るとすぐに落ちる)
  • フロントエンドのデザイン(見た目も大事)

さらにセファロ分析のデータは単純な数値の集合ではなくそれぞれの数値が何を意味し、どう解釈されるべきかを考慮する必要があります。この点は一つずつ解決しながら進めています。

 

どんな未来を目指すのか?

このアプリが完成すれば、歯科医師がより客観的な診断を行うための強力なツールになると考えています。特に、

  • 診断の標準化:個々の経験値に依存せず、一定の基準で診断を行えるようになる
  • 教育・研修のサポート:若手歯科医師が自分の診断の正確性を確認できる
  • 診断の精度向上:フィードバックを蓄積することで、AIがより的確な診断をサポートできる

こうしたシステムが確立すれば、矯正診断における「経験則」に頼る部分を減らし、よりエビデンスに基づいた診療が可能になります。

 

 

こんな感じで動きます。ご興味のある方はご覧になってみてください。

まとめ

ChatGPTを活用したセファロ診断アプリの開発はまだ道半ばですが、確実に前進しています。AI技術をうまく活用すれば歯科医師の診断業務をより効率的に、患者さんにとってもより質の高い治療を提供できる未来が見えてきます。

もし、「こんな機能が欲しい!」「こういう問題を解決できる?」といったご意見があればぜひご連絡をいただければ嬉しいです。

引き続き、アプリ開発を頑張っていきます。

この記事を書いた人

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Koichiro Tokunaga

東京都千代田区 原田歯科クリニック勤務 
東京SJCD所属